遠視の未矯正は百害あって一利なし!
本日ご紹介するのは、当店のお客さまのご紹介でご来店頂いたMさまです。
「いつも使っているメガネが調子が悪くて、眼が疲れる。
しかも、どこで作っても調子が悪くて。
Wさん、どこか良いメガネ屋さん知らないかな。」
とご相談頂いたみたいでした。
「どこで作っても調子が悪い」とご来店頂いて、
そのままリピーター様として通って頂いているお客さまは、
当店、かなり多いので、わたしの得意分野ですね(^^)
わたしは眼科医ではないので、お力になれるのは「屈折異常」に関してのみ、ですが、
こういう見え方でお困りのお客さまは、むしろ大歓迎です。
色々と掛け比べて頂いて、メガネは、フォーナインズのM-108で決定です(^ ^♪
大人カッコいい雰囲気が、Mさまにピッタリ!
「眼のことを考えたきちんとしたレンズが希望です」
ということでしたので、カールツァイスのスマートライフでおすすめをさせて頂きました。
年齢に合わせた瞳孔径を見え方に反映させ、視線移動も楽に行えて、
デスクワークも多めの現代人にはおすすめのレンズです(^^)!
それでは眼の状態を分析していきます。
年齢:50代後半 お仕事:会社経営
坂井さん、こんにちは!本日は宜しくお願いします!
Mさま、こんにちは!こちらこそ遠方から足を運んで頂いてありがとうございます(^^)こちらこそ本日は宜しくお願いします!Wさまからも、しっかり眼を診てあげてほしい、と言付かっておりますので、お悩み解消のお手伝いが出来るように頑張らせて頂きますね!
オートレフの値
ちょっと今回はですね、この「オートレフ」と言われる、
あのメガネ屋さんで「はいここ覗いてねー」ってピピってやられるあれですね。
これを参考に見て頂くと分かりやすいかもしれません。
赤印で囲ったところが、右から順に、球面・乱視・乱視軸です。
遠視についての説明は、下記の記事をご参照ください。
遠視
使用眼鏡
① 10年ほど前に作った老眼鏡
R)S+1.75 C-0.75 AX102°
L)S+2.00 C-0.50 AX81°
①を基にして考えたベースとなる度数(老眼の度数を+1.50と仮定した場合)
R)S+0.25 C-0.75 AX102°
L)S+0.50 C-0.50 AX81°
この時点で既に、オートレフの数字だけを見て作っているのがわかりますね。
まだ遠視がかなりの量、潜伏してます。
② ここ2~3年前に作った老眼鏡
R)S+2.00 C-1.00 AX105°
L)S+2.50 C-0.75 AX81°
②を基にして考えたベースとなる度数(老眼の度数を+1.50と仮定した場合)
R)S+0.50 C-1.00 AX105°
L)S+1.00 C-0.75 AX81°
こちらも、10年前に作ったメガネと殆ど度数が同じです。
オートレフの数字だけを見てメガネを作っているのがわかりますね。
まだ遠視がかなりの量、潜伏してます。
このメガネ、どちらも別の「メガネ専門店」と言われるお店でお作りになられているんですが、
老眼鏡としてお客さまはお作りになられております。
パッと見ただけで、上のオートレフを基準に考えて作られていて、
遠視の未矯正がまだまだ残っているということが分かります。
この老眼鏡で近くを見るということは、調節力がまだ残っていれば、
「めちゃくちゃ頑張れば見え」ますが、
本来なら使わなくて良いはずの、余計な力を使って近くを、
めちゃくちゃ頑張って見ている状態になっているわけなので、
メガネを掛けても疲れる、という状態になるわけです。
そして、加齢とともに、その踏ん張りも効かなくなってくるので、
どんどん、メガネを掛けても疲れる、そのうち近くを見ても、
ボヤけて見えなくなる、ということが起きてくるんですね。
そもそも遠視は近視と違って、データの見方も違いますし、
検査方法も遠視専用の特別な検査テクニックに変えないと、遠視の未矯正が残りやすくなり、
あとあとその残った遠視が、身体に悪さをします。
時間をかけて、ゆっくりゆっくりと、根気よく絞り出していかないと、
遠視の測定は出来ません。
それでもまだ潜伏している遠視が残っている場合があるぐらいです。
遠視の検査こそ、技術力が問われると云っても、過言ではないと思います。
Mさまの不調ですが、どちらの専門店でも、
この「遠視の絞り出し」が行われていないので、
こういうメガネが出来上がってきてしまって、
「メガネを掛けても疲れる」という状態を引き起こしているわけですね。
カバーテスト:遠方 上下の動き / 近方 内斜位
NPC:6cm以内合格
追従:NO、右眼でスムーズではない。
うーん、遠方で上下斜位が出ちゃってますね…(;^_^A
このままこのメガネを使用していると、上下斜位に移行しかねません。
しかも、遠視の未矯正分を調節力を使って補っているので、
近方で視線が内側に寄る「調節性内斜位」になっちゃってます…(;^_^A
斜位とは?
どれだけ眼を内側に寄せられるかのテストでは、6cm以内とまあ、合格。
眼だけで物を追えるかどうかのテスト(追従)では、
右眼で眼を上手く使えなくて、眼がついていけなくなってます。
ということは、右眼で遠視の未矯正の量が多いのかもしれませんね。
測定度数
R)S+1.75 C-1.75 AX85°ADD+1.50
L)S+1.25 C-1.00 AX80°ADD+1.50
こちらは、遠視専用の検査テクニックに変えて、
時間をかけてゆっくりと遠視を絞り出していった度数です。
とりあえず②の度数と比較しても、右で6段階の遠視未矯正、3段階の乱視の未矯正、
左で1段階の遠視の未矯正、1段階の乱視の未矯正がみつかりました。
遠視は+0.25でも未矯正が生じることで、
その分余分な調節を使って、物を見続けることとなるため、
身体的なダメージにも繋がっていきます。
(頭痛・肩凝り・眼精疲労・身体のこわばりなど)
たった+0.25であっても、見過ごすことは出来ません。
遠視の未矯正は、様々な不定愁訴の総合デパートみたいなものです。
カバーテスト:遠方 正位 / 近方 外斜位
NPC:6cm以内合格
追従:YES
上下斜位の動きも、調節性内斜位も解消されて、
正常な眼位に戻りました。
また、追従のテストでも、右眼のぎこちなさが改善され、概ねスムーズになりました。
うーん…特に左眼で遠視の未矯正がすごく残っていて、絞り出したら潜伏していた遠視が大量に出てきましたよ(;^_^Aしかも乱視の未矯正もなかなかです。以前作られた老眼鏡ですが、近くというよりも、室内で見やすいぐらいの感覚だったんじゃないでしょうか?
ええー!そんなー!この2本のメガネ、結構高かったし、メガネ専門店で作ったはずなんですが…そうなんです、このメガネで近くを見ていると、ピントを合わせるのも大変だし、仰る通り、室内で見やすい、ぐらいの感覚です。
お店やオーナーさんとの相性もありますから、100%のお客さまに満足して頂くのは難しいとわたしも思いますが、少なくともご持参頂いた2本のメガネに関しては「遠視の絞り出しを行っていない。」という、初歩的な技術としての問題です…。値段が高い=技術力が高い、とは限らないのかもしれませんね(;^_^Aあと、必ず「常用」して下さいね(^^)遠視の方は、近視の方以上に眼が疲れやすいので「常用」しないと、度数も変わりやすいですし、身体の疲れもとれませんので、宜しくお願いします!
え!常用なんですね!分かりました!そんな話、今まで伺ったことなかったです…。
ありゃ、そうでしたか…。メガネの使い方や、眼の説明も、まったくなし、では、今まで色々なことが分かりづらかったですね…。今回の件をきっかけに、とても眼に対して詳しくなれましたね(^ ^♪
さっそくメガネをお渡しさせて頂きました。
今回、度数が特に右眼で大きく変わったので、
正直、このご年齢で遠近両用が初めてで、
この度数を掛けられるのかどうか、お渡しするまで、わたし自身、かなり不安でした。
ん?全然違和感ない、大丈夫ですよ!「常用」ですよね!頑張って掛けますね!
さすがにちょっと細かい字は見づらいですが…
遠近両用は元々「遠く+おまけで手元が見える程度のメガネ」です(^^)
このメガネで細かい字(といってもかなり細かい字。)が見づらい場合は、遠近両用の度数をあげて見るよりも、老眼鏡や、デスクワーク専用のメガネをお作りになることをおすすめします。働き方や視環境も多様化している現代人が、土台遠近両用だけですべてを賄うっていうのは、さすがに無理かな、と思いますので、このメガネを一度使ってみて、近くの見え方に対して物足りなさを感じる場合は、老眼鏡や、デスクワーク専用メガネを作りにいらして下さいね!
わかりました!この度は、お世話になってありがとうございました!
と、そのまま車に乗って、ぶいーんとお帰りになりました👀
個人的には、あれだけ度数が変わったのに、
初めての遠近両用を掛けて車で帰るなんて、
なんて柔軟性の高い方だろう…!とすごくビックリしました。
有名なお店=自分に合うメガネ店とは限らない。
先述でも書かせて頂きましたが、
お店とお客様の相性は、本当に大切ですよね。
それに関しては、わたしも日々感じております。
また、大きいお店、有名なお店=自分に合うお店、適切なメガネを作ってくれるお店。
と思われるのも無理はないかと思います。
個人的には、色々なお店があることは、別に悪いことではないのでは、と思いますし、
大きいお店が自分に合う方もいらっしゃると思います。
だからこそ「自分に合ったお店を見極める力を持つ」これはとても大切なことですよね。
わたしのポリシーは、お客さまが二度と嫌な思いをすることが無いように、
- 検査に対しての説明
- 目に対しての説明
- お客さまひとりひとりに、きちんと向き合って時間をかける。
上記三点を徹底すること。
その人の技術力を見極める、というのも一つの選択肢かもしれませんね( ˘ω˘ )
このたびは、ご紹介でご来店頂き、ありがとうございました。
また今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます(^^)
「遠視の未矯正は百害あって一利なし!」への 3 件のコメント
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