眼の状態は年齢と共に変化します。『違和感』を感じたら、早めにレンズ交換に行きましょう。

遠視の検査はテクニックの塊です!

昨年は、遠視の検査をすることが「かなり多かった」ので、
遠視の記事を中心に上げて行こうと思います。
先日、ついに3年目を迎えた関ODの勉強会。
その中で先生が、

「遠視の検査はテクニックが必要だけれど、それが出来ていない眼鏡店が実に多い。」

と仰っていたことがとても印象的でした。
(確かに遠視の検査はテクニックの塊です。)
そういう背景が、遠視や両眼視が上手くいかない人の『めがね難民』を作っているんだな、と感じました。

今回ご紹介するのは、父親の代からのお客さまで、
経年変化による眼の変化を「まだ大丈夫だろう…。」と過信してしまったことにより、
眼がダメージを負ってしまったケースです。

年齢:60代
坂井さん、こんにちは!
いよいよ遠くも近くもすごく見づらくなってきたので、レンズ交換に来ました。
何となく乱視軸が変わってきたような感じもあるんです。
宜しくお願いします!

Nさん、こんにちは!かしこまりました!
遠視の検査は時間がかかりますので、
本日は貴重なお時間、頂戴いたしますが、宜しくお願いします!

使用眼鏡

R)S+0.50 C-0.50 AX95°ADD+2.75
L)S+0.50 C-0.50 AX95°ADD+2.75

こちらの度数は、わたしの父親が存命の時に測定させて頂いた度数です。
60の手前ぐらいで、眼の状態が変わり、度数に変化が起きやすいので、
色々と眼の状態が変わっていそうですね。

測定度数

R)S+2.50 C-1.50 AX90°ADD+2.25 ×1.0
L)S+1.50 C-1.75 AX95°ADD+2.75 ×1.2

はい、ものすごい変わりようです。笑
右眼で8段階の遠視、4段階の乱視、5°の軸変化、
左眼で4段階の遠視、6段階の乱視の未矯正が発覚しました。
検査中も実はじーっと見ていないとピントが合ってこない、
合わないメガネでずっと過ごしてしまったことが影響して、
「眼の基礎体力」がかなり低下してしまい、
検査に目がついていけず、すごく疲れが出てしまいました。
このメガネですが、恐らく随分前から合わなくなっていたのを、
(まだ大丈夫だろう…)と我慢してしまったんだと思います。
その証拠にピントを合わせるための調節がおかしくなってしまい、
左右の近方で、調節バランスが大きく崩れてしまっています…(;^_^A

うーん…Nさん、実はかなり前からこのメガネ、合わなかったの我慢されておりましたよね?検査にも目がついていけないほど、目が弱ってしまっています。
介護状態で例えると【要介護4】ぐらいの段階です。自力歩行が出来なくて、寝たきり一歩手前ぐらいの感じ。このまま放置すると、完全な寝たきりになって、視力も出なくなってくるので、今の内に手を打ちましょう。

ということで、こちらのお客さまには、一旦治療用のメガネを組んで、
眼が落ち着いた頃に、再度メガネ合わせを行うことになり、
定期検診で通って頂くことになりました。

不安なことがあったら、連絡下さい!

ちなみにこの「定期検診」が成功することのキーポイントが「お客さまとの信頼関係」。
これがないと、絶対に上手くいきません。
今回のNさまにも、不安なことがあったら何でも連絡下さい、とお伝えしておくことで、
とにかくこまめに連絡をくださいました。

いま、自分の目に、こういう変化が起きていて、こういう感じになってきたんだけど、これで大丈夫なのかな?不安になって…。

おお…!もうそんな嬉しい変化があったんですね…!大丈夫、そのあとから徐々に良くなっていきますから、それ良い変化ですよ(^^♪

えっ!良い変化なの!良かった、安心した~!それじゃあこのまま、また頑張ってメガネ掛けますね!
坂井さんにメガネ渡された時に、色々と変化のこと聞いていたけど、実際に自分の身に起きるとやっぱり不安で、大丈夫かな、ってなりますね…。

と、実はこういうやりとりを3回ほど繰り返して、定期検診の日を迎えました。
おかげでわたし自身も、途中の経過をよく知ることが出来ました!

3か月後の定期検診

フレーム:Markus T.
レンズ:カールツァイスドライブセーフ 調光レンズ

R)S+2.50 C-1.50 AX85°ADD+2.00 ×1.0
L)S+1.50 C-1.25 AX95 ADD+2.00 ×1.2

最終的に、遠視はもうこれ以上出ませんでしたが、
おかしくなっていた調節が整うことで、右眼の乱視が更に出て、軸度が5度変化、
左眼で乱視が2段階弱くなり、調節も正常に戻りました!
今回、無事に眼が元に戻ったので、
治療用のメガネの度数を変えて、近用メガネに。
そして、遠用メガネも、カールツァイスのドライブセーフ調光でレンズ交換をさせて頂きました。

メガネお渡し後。

前回、検査に身体がついていかなくて、本当に疲れて、途中で涙が止まらなかったんですが、今回は、じーっと見ていなくてもピントがスッと遠方に合うし、やっと要介護状態から抜けられてホッとしました!
それに、目が良くなるまでの「中間のメガネ」という物があることが、本当にビックリでした。眼が良くなるまで、本当に大変な思いをしたので、これからは合わなくなったら早めに来ますね(;^_^A
それから、カールツァイスのレンズ、とっても良い!
隅々まで綺麗に見えるし、輪郭がくっきりきちんと見えて、目に入って来る光がキラキラしてとても楽になりました!この見え方知ったら、もう手放せないですね!


と、有難いお言葉を頂きました!
カールツァイスのレンズも、カメラ男子のNさまにおすすめしたところ、
とても気に入って下さったようです!
今回のNさまは「合わないメガネをかけていた期間が短期間」だったため、
遠視の未矯正があっても、眼が元通りになる期間も早かった
ですが、
これが何十年単位で遠視の未矯正があるお客さまは、
調節がなかなか正常化しなくて、長期戦になるケース、
完治は望めない状況になることがほとんどです。

老視になるまでに、どのようなメガネをかけていたのか、ということが、
その後の明暗が大きく分かれるように個人的には感じます。
こちらのNさまは、年齢によって遠視が増えて来たことを、短期間我慢した程度で、
元々のメガネがきちんとしていたこと、
お客さまとの信頼関係がきっちり築けていたため、上手くいったケースです。

でもこういうケースは稀なように個人的には感じます。

一人として同じ目の人はいないので、いつも全力投球でお客さまと向き合いますが、
あと10年早く来てもらえてれば…とジレンマを抱えることも少なくありません。
そして、わたし自身も日々勉強と経験の積み重ねです。
ちなみにこちらのお客さまは、わたしが父親が亡くなったストレスで身体を壊したときに、
いつもお話を聴いて下さったり、健康診断の案内を持って来て下さったり、
何かとお世話になったお客さまです。今回、ようやくその恩返しが出来ました。

また気になることがあったら、いつでもお気軽に連絡下さいね~!
いつも本当にありがとうございます!!

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