【事例紹介】遠くも近くもスッキリ見えない!

【事例紹介】遠くも近くもスッキリ見えない!

本日ご紹介するのは、ピアノ教室が一緒なことがご縁となり、
メガネを作りに来て下さったKさまのメガネです。
大人になり、またピアノを再開された、とても努力家の、
わたしがいつも尊敬している方です。
発表会でお会いできるのをいつもとても楽しみにしておりました。
「見え方」で、こんなに深刻なお悩みを抱えているとは露知らず…。
今回、ピアノがご縁となり、少しでもお役に立てて良かったな、と思っております。

都会的な雰囲気に、ガラッとイメージチェンジ!

フレーム:999.9 M-80 9003
レンズ:東海光学ルティーナ 遠近両用
カラー:トゥルーパープル10%

フレームは色々と掛け比べて頂いて、
Kさまのお洋服の雰囲気からも、
スタイリッシュで都会的な雰囲気のM-80に決定です!
今までシンプルなメガネを掛けていたこともあり、
ガラッとイメージチェンジです。
レンズは、優しい見え方で、使いやすい、
東海光学のレンズでお作りをさせて頂きました。

それでは眼の状態を分析していきます。

年代:60代(事務職・主婦業)
坂井さん、こんにちは!
もう遠くも近くも全然見えてなくて、しんどくて…。
今日は宜しくお願いします!

こちらこそ、メガネの新調にわたしを選んでくださってありがとうございます!
きちんと見させて頂きますので、
こちらこそ、本日はどうぞ宜しくお願い申し上げます!

使用眼鏡

今回、使用眼鏡が幾つかあるとのことで、全部持ってきて頂き、
「遠くも近くも見づらい」の原因を分析して、
要る物、要らない物を仕分けしていくことから始めました。
いつも思うのですが、この作業、病院で薬を仕分けする感じと似てるなって思います。
あちこちの病院に通って、あちこちで薬を貰って、
あれもこれも、すごーくいっぱい薬を飲んでいるけど、
もう自分でも、どれが効いて、どれが合っていないのか、
そして、最終的にどの薬を飲めば症状が落ち着くのか。
もう自分でもわからなくなってる感じに近いなって、思います。
なのでわたしはいつも全部メガネを持って来て頂いて、
「いつ・どこで・だれが・何を・どのように」
これを一つ一つ整理していくことから始めます。

使用眼鏡①仕事用(10年ほど前に作製)
R)S-3.25
L)S-3.25
PD=60
☆見えづらい、ボケる。
☆近くを見るときは外す。

使用眼鏡②ピアノ用(処方箋にて3年ほど前に作製)
R)S-3.25 C-0.50 AX70°
L)S-2.75 C-0.75 AX90°
PD=59
☆五線譜がレかファか分からない=ボヤケて見えない

使用眼鏡③運転用(5年ほど前に某チェーン店にて作製)
R)S-4.75
L)S-4.00 C-0.50 AX107°
PD=61.0
☆遠方での見づらさは感じないが、ナビが見づらい。

使用眼鏡④常用メガネ(処方箋にて8年ほど前に作製)
R)S-4.50 C-0.75 AX45°  ADD+1.50
L)S-4.00 C-1.25 AX108°ADD+1.25
☆このメガネを作ったとき、最初は辛くて掛けられなかった。

眼位:
遠方…外斜位+上下斜位の動き
近方…外斜位+上下斜位の動き / 左眼は外斜視の動き

NPC:6cm以内(頑張って見ている)
追従:NO(右眼が物を追いきれず、飛ぶ)

いちばん(よくやった!よくやったぞ!)と、
褒めたくなったメガネが使用眼鏡④です。
あとはもう、全然ダメダメ。ダメダメの極です。
この処方箋を作った視能訓練士さんも、
これを頑張って掛けられるようになったKさんも、
本当に「グッジョブ!!!」です。
今回、このメガネがなければ、今回の定期検診は、もうまず間違いなく成功しませんでした。
視能訓練士さんが、思い切って乱視を処方して、
これをKさまが、頑張って掛けられるようになっていたことで、
次につなげることが出来ました!
ただこの常用メガネも、両眼で物を見ていないし、近くも頑張って見ている。
そして、上下斜位の動きが見られます。

測定度数

R)S-4.25 C-1.75 AX80°ADD+1.75 0.5△BD ×1.2
L)S-4.25 C-1.75 AX95°ADD+1.75 0.5△BU ×1.2

PD=58.5

一回目の検査での度数がこちらです。
左上斜位という、ピントを合わせるための「調節」に負担を掛ける視線のズレが見つかりました。
「近く用」として作られた仕事用のメガネもピアノ用のメガネも、
遠用PDで作られていることが判明…(;^_^A
輻輳(寄り眼)を考慮してないし、全然「両眼視」を考慮してメガネを作られてない。
しかも長年「弱めの度数が身体に良い」
「乱視は身体に悪いから矯正しない」と言われ続けていたようで、
低矯正+乱視未矯正のメガネを、ずっとお使いになられていたようです。

Kさまの眼は「弱め」「乱視未矯正」との相性最悪の眼で、
それをすることで、上下の視線のズレがどんどん酷くなり、
ピントを合わせるための「調節」にまでダメージが出てしまう眼の持ち主です。

が、その割には視力が1.2まで出る!きっと元々の眼の質はとっても良いんだと思います。
が「弱めの度数、乱視は矯正しない」ということで、その良さが生かせなくなっていました。
しかし、今までずっと「見えない世界」で過ごして来てしまったこともあり、
この度数が掛けられなかったので、
一旦、掛けられる度数まで、調整をさせて頂き、定期検診で通って頂くことになりました

3カ月の定期検診後

R)S-4.25 C-2.00 AX80°ADD+1.75 1△BD ×1.2
L)S-4.25 C-2.00 AX95°ADD+1.75 1△BU ×1.2

NPC:6cm以内(スムーズ)
追従:改善が見られる(まだ右眼は時々、飛ぶ)

「弱めのメガネ」「乱視未矯正」が相当、眼に悪さをしていたようで、
定期検診でまさかの乱視も増え、
眼に負担がかからなくなり、頑張って見なくても良くなった分、さらにプリズムが増えました。
これ、定期検診で度数が変わる場合は、
相当合わないメガネのダメージがでかかった、ということです。
ただ、合わないメガネを掛けて来た期間が長期間で、
「後遺症」が残ってしまい…。
下方回旋が苦手になってしまい、遠近両用がきちんと使えない眼になってしまいました。
遠近両用で、近用部分(近くを見る部分)にまで視線が降り切らなくて、
遠中処方として、こちらのメガネをお使い頂くこととなりました(> <)

後遺症は残りましたが、視機能的には整ったので、
今回、ピアノ用のメガネもレンズ交換をさせて頂きました!
今回はきちんと「輻輳」を考慮して、近用PD でお仕上げをさせて頂きました。

でも実は今回、乱視の矯正を全部できるか、本当に心配でした。
乱視を本当は全部矯正しないと、
近くの作業(みづらい、近くを見ていると眼痛、頭痛がする)に支障が出て、
「近くが見づらい」の主訴が、解決にならないからです。
最終的には、この④のメガネがあって、乱視に少しでも慣れていたことが功を奏し、
2回に分けることで、乱視の全矯正が成功しました。
-2.00の乱視をほとんど矯正していなかったって…かなりすごいですよ(;^_^A…。
近くも遠くも見づらいはずですよね…。

やっと近くも遠くも見えるようになって嬉しい~!
ずっと「弱めのメガネが身体に良い」「乱視は身体に悪い」と言われていたけど、
良くなかったことがわかったし、
何よりも、みんなこんなに綺麗に物が見えていたなんて。
今までの時間、損してたんだな、わたし…悔しいな。

Kさん、せっかく視力が出る良い眼をお持ちだったのに、ちょっと勿体なかったですよね。
でも「見えない世界」で生活していると、これからは、
「認知症が出やすくなる」「立体視が出来ていないから、怪我をしやすくなる」
という部分に関わってきますから、そのリスクは回避できてよかった。
ピアノも見えることで、もっと楽しく、上達したら嬉しいな。

ちょっとひと手間

すみません、写真に撮るのを少し忘れてしまったんですが、
ここ、少しだけレンズが出ますよね?
最終的なお渡しのメガネは、ここを磨き処理で透明にしてお渡しをさせて頂きました。
透明にすることで、横から見た時に目立たなくなります(^^)

ご来店ありがとうございました!

このたびは、ありがとうございました!
尊敬するKさまのメガネをお作りさせて頂いて、本当に光栄でした。
発表会まであと数カ月。
お互いに練習、頑張りましょうね!またお会いできるのを楽しみにしております(^O^)!