【事例紹介】40歳を過ぎての遠視矯正は、かなり、大変です!
こんにちは、人にやさしく、メガネにもやさしい、福井県福井市のメガネ店、SAKAIです。
本日ご紹介させていただくのは、Iさんがきっかけでお友達になった、Kさんです(^^♪
これも今年担当した中で、ダントツの難易度でした。
というか、難易度が高い症例がデフォルトになりすぎてる気がします苦笑
Kさんとの出会いは、Iさんに誘われて参加した多国籍料理を作る会(山分けの会)で、
そこからいつもご一緒させて頂いて、お友達になって下さいました✨
(もちろんIさんも、出会いはお店でしたが、今ではすっかりわたしの大切な友人です(/・ω・)/)
50代(女性・製造業)
なぎささん、実は眼の調子があんまり良くなくて…。
わたしも母も遠視なんですが、母も遠視を矯正していなくて、
めまい・頭痛・肩こりを抱えていて、わたしも将来そういう風になるのが嫌で、
きちんとした遠視のメガネを作りたいと思っているんです。
相談を受けたことがきっかけだったんですが…。
Kさんは50代で、メガネをかけたりかけなかったり。
おそらく今かけているメガネの度数も、中途半端な度数だと思われます。
このような状態から、遠視をきちんと補正して、
ベストまでもっていくのは、至難の業だし、時間もお金もかかるし、本当に大変です。
遠視の矯正は基本的に40歳までなんですよ。
それまでに見つけて潰しておかないと、あとが本当に大変。
老視世代に入ってから、遠視の矯正をしようと思うと、
調節が上手く動いていかなくて、今までの経験から、もうほんっとに大変です。
”行くも地獄、現状維持も地獄”みたいな感じでしょうか?
現状維持も、結局状態は悪化していくから「どっちの地獄を選びますか?」っていう。
行く地獄は、ながーいトンネルを抜けたら、あったかいお花畑が待ってる。
でもそのながーいトンネルの道中は、かなりしんどいですよ。
現状維持は、地獄のランクがどんどん上がっていきます。
大変でも頑張れそうでしたら、わたしも全力でサポートしていきますが…。
本当に大変ですよ…(´・ω・`)しんぱい。
なぎささん、わたし、母みたいに、これから先、頭痛やめまいで苦しみたくないから、
遠視の矯正、頑張ってみます!
ということで、Kさんは、50代で遠視矯正を頑張ることになりました。
ちょっと個性的なメガネが好きです!
「ちょっと変わったモデルをかけたい!」
ということで、選んでいただいたのは、パサパの多角形メガネ(^ ^♪
色合いも、落ち着いた雰囲気のKさんにとてもピッタリで、
すごく素敵なメガネを選んでいただけました✨
手元での作業が多いKさん。
お仕事がしやすいように、慣れやすくて中間近くが広く見やすい、
雅Nで製作をさせて頂きました。
ちなみに後日Iさんが、
「あれは、Kちゃんが自分で選んだの?
難易度が高そうなメガネなのに、自分で選べたのすごいね!」
「いやいや、Iさんがお店にいらしてくださって、
道筋を作って下さったからだと思いますよ(^^)だって、個人店、入りづらいもん笑」
という会話が繰り広げられました笑
それでは眼の状態を分析していきます。
実はKさん、いったん検査のためにお店にいらして下さったんですが、
まあ案の定というか、調節がガッチガチに固まってしまっていて、
検査が上手くできず、家で調節を緩めるためのトレーニングと、
現用メガネを少しでも常用して、調節を整えてもらってから、
再度検査に来てもらうことになりました…(;^_^A
そうなんですよね、遠視の未矯正が残っている場合、このような感じで、
- じーっと見ていないとピントが合わない。
- むしろ、じーっと見ていてもピント合ってこない。
「調節系」に大きな支障が出てしまい、検査が出来ないことがしばしばあります。
これが本当に、厄介なんですよね…。
遠視矯正の難しさの第一段階は、まずこれです。
それからこの後、Kさん使用のメガネに衝撃の事実が発覚します(;^_^A
使用眼鏡①(15年ほど前に某チェーン店にて作成)
R)S+1.25 ×1.2
L)S+1.25 ×1.0
PD=57.0
眼位:カバーテスト
(遠方)右:正位 / 左:微量の外斜位の動き
(近方)大きな外斜位の動き
眼位:カバーアンカバーテスト
左目:片眼固視で眼振が起きる
NPC:15㎝(目が寄っていかない)
追従:NO(右が全方位遅れが見られる)
もうすごすぎるメガネです(;^_^A
確かに、視力的には問題ないですが、カバーテストを行うと、
左目で単眼固視で眼振が出て、中心窩で物を見れていない状態に陥っています。
使用眼鏡②(6年ほど前に道の駅に来ていたメガネ店にて作成)
この使用眼鏡②が本当にひどかった…まあ①もひどいんですが、
①以上に金儲けしたい、っていう気持ちが見え見えで本当にひどかった。(許せない)
R)S+1.25 ×1.2
L)S+1.25 ×1.0
PD=64.0
実は、メガネ①とメガネ②は、季節で付け替えてるんです。
メガネ①を使っていて、なんだか調子が悪いことが増えてきたので、
メガネ②で度数を強めて作ってもらったんです。
それでメガネ①は夏場に使って、メガネ②は冬場に使ってます。
なんじゃそりゃあああΣ(・ω・ノ)ノ!
いやいや、夏用の度数・冬用の度数なんて、ないからね、Kさん!
そんな夏服♡冬服♡みたいなノリで、
メガネの度数は、衣替えじゃないんだから!
しかもちょっとこれ見て。Kさんの瞳孔距離、58.0なのに、
使用メガネ②は、瞳孔距離が6ミリも外側に広がっているし、
度数を強めてもらったって言ってるのに、同じ度数ですよ。
使用メガネ①は、瞳孔距離が1ミリ内側に寄ってますが、
まだこっちの方がましなような…。
使用メガネ②になって、余計に状況、悪化してます。
多分これ、あれじゃない?遠視は、外径指定して、
レンズを薄くして作ることがあるんですけど、
レンズを安く上げたいために、光学中心ずらして、特注レンズにしないで、
在庫レンズでむりやり作ったみたいな感じですよ。
ほら見て。加工精度も低いから、ここ、欠けちゃってるし。
と、衝撃の事実が次々に浮き彫りになって、KさんもびっくりですΣ(・ω・ノ)ノ!
なぜ夏と冬で、眼の調子に、差が出るのか?
夏と冬だと、冬場の方が目の調子が悪い原因ですが、
「調節が固まって動かない」ことが原因だと思います。
寒くなってくると、人間の体はどうしても、動きが悪くなったりしますよね?
寒いときは、古傷が痛む、腰の調子が悪い、とか。
あれと同じことが眼にも起きるんだと思います。
よくお話を伺うと冬場だけでなく、体調が悪いときや、夕方も同じように調子が悪いことが判明。
体調がいいときは、遠視の未補正を自力で補うための力を辛うじて捻出できるけれど、
体調が悪いときや疲れてくると、体調の悪さをカバーする方に力が使われるので、
遠視の未補正まで補う力は、残念ながら捻出できないんだと思います。
それで、調子が悪い、ということに繋がるんだと思います。
遠視の仕組みについては下記リンクをご参照ください。
測定度数(1回目のメガネ合わせ)
R)S+1.50 C-0.50 AX100°ADD+1.50 ×1.2
L)S+1.25 C-0.75 AX115°ADD+1.50 ×1.5
PD=58.0
眼位:カバーテスト
(遠方)右:正位 / 左:微量の外斜位の動き
(近方)大きな外斜位の動き
眼位:カバーアンカバーテスト
左目での眼振は消えたが、右が抑制気味になる。
レッドレンズ:上下・水平方向の分離を繰り返す
NPC:6cm以内(Lに偏重で分離)
追従:smooth(ただしまだ若干、全方位右で動きの鈍さが残る)
実はKさん。トレーニングをしてお店にいらしていただいたんですが、
それでも調節がガチガチになったのが改善しきれず、
潜伏遠視が残っている可能性が、濃厚プリンぐらいの濃厚さです🍮
しかも、右目で単眼固視したときに、抑制しがちになる…。
レッドレンズで融像条件を崩すと、
両眼視も上手くいっていなくて、常用で様子見を行うことになりました。
将来的に瞳孔距離も変わってきそう…(;^_^A
測定度数(2回目のメガネ合わせ)
なぎささん、こんにちは!
実は1か月までは調子が良かったんですが、
一カ月をすぎたころから、特にお昼以降で右目が痛くなる、
眩暈がする時があるようになってきました。
特に右目の痛いのが気になります。
また本日は眼鏡合わせ、よろしくお願いします!
おっ、これは恐らく潜んでいた潜伏遠視が出てきたのかも?良い兆候だー!
こちらこそまたよろしくお願いしますね!
R)S+2.50 C-1.75 AX100°ADD+1.50 ×1.2
L)S+1.75 C-0.75 AX95° ADD+1.50 ×1.5
PD=59.0
位:カバーテスト
(遠方)右:正位 / 左:微量の外斜位の動き
(近方)中程度の外斜位の動き(最初と比べると減る)
眼位:カバーアンカバーテスト
眼振・抑制共に無し。
レッドレンズ:×(上下方向で分離)
NPC:6cm以内(均等に分離・偏重解消)
追従:smooth(若干、全方位右で動きの鈍さは残る)
メガネを常用して頂いたことで、ここが変化しました!
・潜伏遠視が左右で出てきた!
・乱視も大きく変化し、少しずつ頑張ってみなくても良いように、眼が変化してきた。
・眼振、抑制共になくなり、少しずつ両眼で物を見られるように変化してきた。
・近方で大きかった外斜位の量も少しずつ減ってきた。
・最終的に右目で5段階の遠視未矯正、7段階の乱視の未矯正、
左目で2段階の遠視未矯正、3段階の乱視の未矯正が見つかりました。
なおかつ、老眼の未補正もありました。
※いかにめちゃくちゃなメガネで体が悲鳴を上げていたかよくわかるズレっぷりです。
これからに期待
・全体的に調節が不安定で、じーっと見ていないとピントがあっていかない
→遠視がまだ潜伏している可能性が濃厚。
・近方で調節バランスが揃わないため、調節がまだまだ上手く動いていない
→潜伏遠視分を見越して度数処方に切り替え
・遠方にピントがなかなかあっていかない。
さっそく仮枠でメガネをかけてもらうと…?
わーん…なぎささん…中間~近くはとても見やすくなったんですが、
遠方を見ると、ダブって見えます…(´・ω・`)💦どうしよう。
~30分経過~
あっ、やっとダブって見えるのが解消してきた!
ですよね…(;^_^A調節が上手く動いていないから、複視に繋がっちゃうんです。
Kさん「調節を入れる」ということがもうできなくなっちゃっているので、
遠方で複視は出るし、このメガネをかけても、当分は、遠くでボケるとか、
中間~近くもボケるとか、そういう症状と付き合っていかないといけないです。
しかも、まだまだ調節も上手く動いていかないので、
あと1~2回眼鏡合わせが必要です。
このメガネをまたしっかりとかけて、眼を整えていって、
かけこなせるようになったら、必ずまた来てくださいね。
とりあえず今は「中間~近くが見やすければいいか」みたいに、
ゆるーくとらえてください。
なぎささん、了解(/・ω・)/
あまり深刻にとらえずに、少しずつまた頑張ってみるね!ありがとう!
メガネ矯正のカギは、10→100にするのではなく、10→70になったら良しと考える。
いつもお客さんを見ていて思うのですが、
基本的にメガネは「視機能改善のための道具」です。
道具である以上、完璧はないし、早いうちから正しい度数のメガネをかけているならいざ知らず、
40歳を過ぎてから、正しい状態に戻していこうと思っても、
それはもう労苦は伴うし、3カ月や半年で、
「100の状態」までもっていくのは、無理だと思った方が良いです。
特に遠視矯正に言えることですが、
10→の状態が70になったら良しとする、のように、
自分に課すハードルを少し下げてあげた方が良いです。
テーマは「完璧を求めすぎない」ということ。
一度ダメになった体の部分は、きちんと治っていくまでに、時間がかかるので、
ゆるやかに物事をとらえられないと、気持ちの上でも、体も、
結構しんどいんじゃないのかなー?といつも思います。
個人的には、かすり傷で、オロナインを塗ったらすぐに治る傷と、
交通事故に遭って、臓器損傷レベルで病院に運ばれて、
手術→傷の治療→リハビリ→概ね良くなる、
ぐらいの差があると思ってください。
40を超えて、正しい状態に目を戻していくという作業は、後者の「臓器損傷レベル」です。
自分自身にも言えることですが、完璧を求めすぎないで、
ゆっくりと治していこう、というように、心に余白を持てるといいですね( ˘ω˘ )♡
Kさんのその後…!
なぎささん、こんにちは!
あれから、言われたように、なかなか遠方にピントが合っていかなくて、
大変だな、どうしよう、って思っています。
それで、なぎささんに貸してもらったフリッパーで、
お家でトレーニングをしているんですが、
お店でメガネをもらって、フリッパーをやったときよりも、
ピントが合うスピードが速くなってきました。
この調子で、少しずつ頑張っていきます!
Kさん、苦戦しているようですが、
少しずつではありますが、調節が動くようになってきました。
ながーいトンネルをまだ歩いている最中ですが、
きっとそれを抜けると、頑張ってよかった、と思う景色が見えると思います(^^)
わたしも、友人として、そして技術者としても、サポートしていきますので、
まだ遠視矯正の途中ですが、あきらめないで頑張ってくださいね!
今できないことは、3年後はもっとできないので、いまが踏ん張りどころ!
ファイトだー!!!
Kさんのその後は、また検査をする機会があれば、こちらでご紹介をさせて頂こうと思います!
事例紹介にもご協力いただいて、ありがとうございました!
またこれからもIさん同様、仲良くしてくださいね✨
頑固爺さん懐柔(笑)を目指して、また一緒に頑張りましょうね!