【事例紹介】見え方に慣れることと、視覚が整うことは、別です。

【事例紹介】見え方に慣れることと、視覚が整うことは、別です。

こんにちは、人にやさしく、メガネにもやさしい、福井県福井市のメガネ店、SAKAIです。
本日ご紹介させていただくのは、お父さんの時代からのお客様です!
今回のお客様は、3年という長い期間をかけて、視覚をしっかりと整えてくださいました。
常々「メガネの見え方に慣れる」ことと「視覚が整うこと」は、
まったくの別問題と感じています。
ピアノを習っている方なら分かって頂けると思うのですが、
長年、調律を行っていないピアノを調律していく場合、1度の調律では音が安定しません。

1回目…調律を行う
2回目(半年後)…再度調律
3回目(さらに10か月後)…再度調律

ピアノを手入れせずに放置している期間が長い場合、
音が変化するスピードもとても早く、2回目の調律はなんと半年後でした。
3回目の調律が終わって以降は、ピアノの音がしっかりと安定して、
今は、1年~1年半後まで、音が長持ちするようになりました。
人間の眼もこれと全く同じことが言えます。本日は、その事例を紹介していきます。

Mさんご自身の事例

フレーム(上):999.9 M-36 6943 レンズ:HOYA 雅N MEIRYO抗菌コート
フレーム(下)999.9 M-152 8812 レンズ:HOYA 極 MEIRYO抗菌コート

40代・女性(事務職)
坂井さん、こんにちは!
以前坂井さんが薦めてくださった、デスクワーク専用メガネを今回、
作りたいと思っています!よろしくお願いします!

ありがとうございます!
前回の検査から少しお時間空いているので、
今回、また検査から入らせて下さいね!

視力や度数が変わっていないか、しっかりとチェックの上、メガネづくりに入っていきます

使用眼鏡(2021年2月に当店で検査・作製)

R)S-3.00 C-0.75 AX125°ADD+1.25 
L)S-3.25 C-0.50 AX120°ADD+1.25 

この度数を検査したのが、2021年の2月
6月に、定期検診にお越しいただいて、度数に変化がないか、
再度チェックをさせて頂いておりましたが、度数に変化はなし
ただし、視力が上がらなかった左目で、視力が1.2まで上がるようになりましたが、
右目はずっと視力が上がらないままでした。

2021年2月視力:右目(0.9)左目(0.9)
2021年6月視力:右目(0.9)左目(1.2)
2024年8月視力:右目(0.9)左目(0.8)

今回、メガネを作るにあたり、視力から検査をさせて頂くと、
前回1.2あった視力が、0.8まで下がっており、度数変化の可能性がありました。

測定度数(2024年8月)

R)S-3.75 C-0.75 AX100°ADD+1.50 ×1.2
L)S-3.25 C-1.00 AX75° ADD+1.50 ×1.2

今回、検査をしていて、ドライアイと思われる症状があったため、
検査の前に、眼科でドライアイの治療も行っていただきました。
その結果、3年前は、4か月後も度数の変化もなく、視力も上がらなかった右目。
今回検査をしていくと、検査への反応もとてもスムーズで、
視力もみるみる1.2まで上がるようになっているじゃないですか!

Mさん!大変です!右目の視力、以前は0.9から全く上がらなかったんですが、
3年の時を経て、メガネの常用をしっかりすることで、視覚が整いました!
その結果、視力が出なかった右目、1.2まで視力が出るようになっていますよ!!!
度数は変化しましたが、この変化は、視覚が整うことにより、
正常な状態に眼が戻ることで、正確な度数が出てきた変化で、
近視が進んでいたりなど、悪い意味の変化ではありません!

えええ!本当だ!右目、以前のメガネに比べて、見やすくなってる!
それに、わたしいま検査していて気が付いたんですけど、
3年前は、検査していても(なんとなくこっちかなぁ…)という、
返答に曖昧さ
があったんですが、
今回は(こっち!)と、自信をもっていえるぐらい検査がわかりやすくなりました。

そうそう!それが「視覚が整う」ということです!
私自身も、メガネをかけ始めたときの検査は、何をやっても反応がなかったみたいで、
先生に「反応悪いから、他覚の値をそのまま入れておいたから」と言われたんです。
それで視覚が整うのを待って、数年後に検査をしてもらったときは、
自分でもびっくりするぐらい、反応スピードが高くなっていたし、
度数も変わりましたから。視覚が整って、正確な度数が出てきたんですよ。
Mさんの場合、4カ月後でも、度数や見え方が変わらなかった、ということは、
ダメージレベルがよほど深くて、治るのに時間がかかったんだと思いますよ。

Mさん旦那さんの事例

年末に、旦那さんもメガネを作って下さったので、検査をさせて頂きました。
旦那さんは、手元が見づらくなってきたという自覚症状がありました。
旦那さんも、視覚が整うことで、良い意味で度数が変化しておりました!

使用眼鏡(2021年4月に当店で検査・作製)

R)S-3.75 C-0.25 AX65°ADD+1.50 ×1.2
L)S-4.50 ADD+1.50 ×1.0

この段階で、左目に潜伏乱視の疑いあり。
乱視が蹴られて入っていかない可能性が濃厚だったため、
2か月後ぐらいを目途に、再度定期検診で通っていただきました。

定期検診(2021年6月再検査)

R)S-3.75 C-0.25 AX90°ADD+1.50 ×1.2
L)S-4.25 C-0.25 AX90°ADD+1.50 ×1.2

この段階で、左目で-0.25の乱視を拾うことができ、
なおかつ左目で1.0→1.2と、視力の向上が見られました。
ただ、検査への反応が悪く、乱視の軸が判別しづらかったため、
アナログな方法で乱視軸を決定し、保証にてレンズ交換をしました。

測定度数(2024年12月)

R)S-3.25 C-0.25 AX90°  ADD+2.00 ×1.2
L)S-3.75 C-0.50 AX100°ADD+2.00 ×1.2

視覚が整うことで、近視の度数が左右とも2段階弱くなり、
左目で、さらにもう1段、潜伏していた乱視が出てきて、乱視軸も10°変化。
今回で、これらをしっかりと拾っていくことが出来ました!

坂井さん、今、夫の検査を見ていても感じたんですが、
3年前の検査の時の夫の返答も、もう少し曖昧なものでしたが、
今回は、わたしと同様、返答が「しっかり」に変化しています。

そうそう、まさしくそうだと思いますよ。
前回は、乱視の検査の時に、クロス・文字、両方とも反応が悪かったので、
裂孔板という、アナログな方法で乱視軸を出したんですが、
今回は普通の検査で乱視も乱視軸も出せました!

ただ旦那さんの場合、奥様と違って、老眼鏡で、
乱視なしのメガネを併用されていたこともあって、
それが眼に負担になっていたのか、
老眼の度数が平均よりも高くなっているように感じます。
元々近方で外斜位も大きく、負担を感じやすい眼なので、
今回を機に、老眼鏡も乱視入りに変えるとベストです(^^)

すごいですね!
メガネの度数に慣れることと、視覚が整うこと、これは全然異なることなんですね。
視覚が整うことで、検査がスムーズになったり、
本来の機能を眼が取り戻していくことで、視力が上がるようになったり、
本当の度数がしっかりと出てきたり…。メガネも人間の身体もすごいですね!

視覚が整うことで、眼は本来の機能を取り戻す。

これ、お客様のお話を聞いていて感じることなのですが、
合わないメガネをかけていた時間が長い、そして年齢が高くなればなるほど
この「視覚が整う」まで時間がかかるように思います。
メガネの度数は、しっかり常用が出来れば、2週間~1か月程度で慣れます。
ただし「視覚が整う」のは、もっともっと長い時間がかかります。
大体1年~3年ぐらいゆっくりとした時間をかけて、整っていく気がします。

50代(女性)
メガネに慣れるのは1か月もあれば十分だったけれど、
最初のうちは、夕方になると、近くや遠くにピントが合わなくなって、
すぐにボケを感じていたのが、1年ほど経つうちに、
それがあまり感じなくなってきました。
やっと、メガネに身体が追い付いてきた気がします。

30代(女性)
最初は、利き目ではない方の眼で、室内で少しボケを感じていました。
あまり気にならなかったので、そのまま過ごしていましたが、
1年ほど経ったときに、ふと、
(あれ?最初感じていた左右の差があまりなくなってきた)
ということに気が付きました。
メガネに慣れるのは、2週間あれば充分でしたが、
それとは別の「見え方が整う」という点では、1年ぐらい時間がかかった気がします。

上のご意見は、定期検診や、メンテナンスで来られた際に、
お客様が寄せてくださった口コミです。
だいたい「1年」が視覚が整う期間、という気がしますね。
もちろん個人差があるので、それ以上かかる方もおります。

「視覚とは?」と思われる方が多いと思いますが、
「両眼視機能」「調節機能」「眼球運動」のことです。
まず、合わないメガネをかけていると、下記の順番で悪くなっていきます。

視力→眼球運動→両眼視→調節

ただしこの「調節」はとても頑張り屋さんで、

「みんなが頑張るのやめても、自分は頑張るからね!」

と、最後まで頑張るんですが、頑張るという行為は、いつまでも続かないもの。
最終的に、この「調節」という砦が陥落すると、
抵抗しまくった結果、多大なる犠牲を払って負けました、
っていう本能寺の変の織田信長ぐらいの大きなダメージが出ます。
無血開城をした勝海舟と比較しても、その差は、一目瞭然ですよね?
政権が交代して、制度を整え、側近を育て、敗残兵を始末して、
ゆっくりと時間をかけて新しい政権に馴染んでいく。
ぐらいの大きな変革が、人間の身体でも、
時間をかけて行われているんだろうなぁ…とわたしは思っています。
個人的には無血開城(視力が悪くなる程度)辺りで、ご来店いただければ、
「視覚が整う」のに長期的な時間を割かなくて済むんじゃないかな?と思っています。

焦らずにゆっくりと視機能を整えていく。

見え方に慣れても、この「視覚」が整わない方から、
焦ってお電話やメールをいただくことがありますが、
今回のお客様を見ていても「メガネに慣れること」と「視覚が整うこと」は、本当に別問題です。
今回のお客様は、焦らずにゆっくりと、3年という長い時間をかけて、
眼を整えていってくださいました。
一度ダメージが出た部分が3カ月や半年そこらで治らないのは、
眼といえど、当り前のことです。だって、人間の身体の一部ですから。
切り傷や擦り傷は、一カ月ぐらいで治っても、
骨折は、そんな簡単に治らないし、リハビリも必要ですよね?
それと同じことです。結果を急いで、イライラするのではなく、
心に余裕をもって、少しずつ、身体を治していくつもりで、
視覚を整えていってくださいね!応援しております!

メガネはどこで作っても同じだと思っていました。

年末に、こちらのお客様が仰って下さったことが、
ヴィジョンケアという観点から、メガネづくりを行っている自分にとって、
とても心に刺さりました。

今まで、メガネはどこで作っても同じで、遠くも近くも、
裸眼よりかはマシな程度の見え方だったけれど、
坂井さんの作ってくれたメガネでの成功体験が、強烈でした。
すごく生活が楽になって、見えるってこんなに大切なんだっていうことを知ったんです。
だから、旦那さんと二人、これからも浮気しないで、
ずっと坂井さんにメガネ作ってもらうから、
また来年だけでなく、これからもよろしくね!

上のお客様は、わたしの父親の時代に、サングラスを作りにご来店されていたようですが、
メガネは違うところで作られていたようで、
サングラスの度が合わなくなってきて、ご来店されたときに、
父親が他界していたことで、わたしが担当をさせて頂きました。

なんだってー!メガネよりもサングラスの方が見えるって、どういうこっちゃー!笑

となったことが、とても印象的だったようで、
それ以来、メガネも当店で作らせていただくようになりました(^^)

わたしの父親には、ファンの方もたくさんおり、
何が正しくて、悪いとかはないと思います。
Mさんはもともと、旦那さんが父親のお客様で、
それがきっかけとなり、お店にご縁が出来たことで、
娘の代になり、見え方の大切さにも気づいて下さいました。
わたしは、眼鏡学校で「ビジョンケアのメガネ」を叩き込まれて卒業しているので、
これからも「見えること」の大切さを伝えていきたいし、
長い目で見たときに「お客様の生活に寄り添える楽なメガネ」を提供していきたいと思っております。

「言葉にする」ということは、当り前なようで、なかなか出来ないことですよね。
とても嬉しくて、そして優しい言葉を寄せてくださって、
Mさん、本当にありがとうございました!またこれからも仲良くしてください!