【事例紹介】遠視の検査が出来るメガネ店は少ない?

【事例紹介】遠視の検査が出来るメガネ店は少ない?

こんにちは、人にやさしく、メガネにもやさしい、福井県福井市のメガネ店、SAKAIです。
本日ご紹介させていただくのは、初めてのご来店のYさんです。
この事例紹介、遠視の方をご紹介することがとても多いんですが、
そのたびに「遠視の検査が出来るメガネ店、実はかなり少ないのでは?」と感じています。
というのも、事例でご紹介させて頂いた遠視の皆さん、
他店で正確な遠視の検査が出来ていないことが明らかで、
毎回、遠視の未補正が大量に出てきて、お客さんも私もお互いにドン引きしてるぐらいです。
今回の方も、まあまあな量の遠視の未補正が検査で出て来ました。

40代(女性・事務職)
初めまして!日常的な眼精疲労、
5年ほど前から近くがよく見えないことに悩みを抱えております。
普段は裸眼で過ごしていて、仕事の時だけ遠近両用レンズを使用しています。
それから、どんなレンズやメガネのデザインが良いのか、自分でもよくわかりません。
現在使っているのは、遠近両用レンズです。
本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

メガネ=目を正しい状態に整えるものなのですが、
必要なときだけかける」という方は、
ものすごく眼に負担になり、度数も変わりやすいし、
レンズ交換で儲けたい、何ならその時にセットでメガネも売りつけたいという、
悪質なメガネ店の餌食になっているケースが本当に多いです(´・ω・`)

常用・デスクワーク専用メガネ、両方をお作り下さいました!

問診表から、遠視が疑われ、なおかつ、デスクワークがメイン。
遠近両用レンズ(常用)+中近両用レンズ(デスクワーク用)、2本必須な環境でした。
そのため、なぜ2本必要なのか?ということをしっかりとご説明の上、メガネ製作をさせて頂きました。

フレーム:MaisondeLuxeLUNETTES
レンズ:カールツァイスドライブセーフ(遠近両用)カラー:調光ブラウン

「メガネをかけていて、楽しい気持ちになるようなメガネが良いです!」

とのリクエストを頂いていたため、
こちらのメガネは、しばらく入荷待ちをしていただいて、お迎えして頂きました✨
レンズは、デスクワーク専用メガネを製作するため、
遠用重視で、夜間の運転がしやすいことで定評のある、
カールツァイスのドライブセーフレンズにて製作をさせて頂きました。
近用部分が狭いため、デスクワークなどは出来ませんが、
遠方視野が単焦点のような広さで、すごく快適です✨

このメガネ、本当にかわいいんですよね~♡
わたしのお店、特に黒系のカラーの人気がイマイチなんですが、
これは黒でもインナーリムにゴールドがあることで、すごく表情が明るくて、可愛い雰囲気になります!

フレーム:999.9 S-647T 1
レンズ:HOYA雅N FL1.60 ラピスコート(中近両用レンズ)

お仕事柄、対面でのデスクワークが多いことから、
今回は、中近両用レンズにてお作りをさせて頂きました。
お悩みから的確なレンズをセレクトするのも、我々の立派なお仕事です。

フォーナインズのストレートテンプルは、取り外しもしやすく、
とてもかけやすいことに定評があるメゾンです。
このストレートテンプルが、遠近とデスクワーク専用メガネのかけ替えの時に、
スッと取り外せる楽さがあるようで、
デスクワーク用でも、フォーナインズをお選びになる人もいるぐらいです。

それでは眼の状態を分析していきます。

使用していた眼鏡①(5年ほど前に処方箋にて作製)

R)S+0.25 C-0.50 AX90°ADD+1.25
L)S+0.50 C-0.50 AX90°ADD+1.25

使用していた眼鏡②(同時期ぐらいに某メガネ店で検査の上作製)

R)S+0.25 C-0.50 AX90°ADD+1.50
L)S+0.50 C-0.50 AX90°ADD+1.50

現在使用中の眼鏡③(2年ほど前に某メガネ店で検査の上作製)

R)S+0.25 C-0.50 AX100°ADD+1.75 ×1.5
L)S+0.75 C-0.25 AX90° ADD+1.75 ×1.0

うーん…これ、まずいですね。
潜伏遠視があるのは言わずもがなですが、
このADDという値に注目してください。
5年前から、年々この数字増えてますよね?
遠視の補正がきちんとなされていないから、調節力がすり減っていってるんですよ。
火事場の馬鹿力をひねり出して、遠くも近くも死ぬ気で頑張って見ている状態
といえばわかりやすいでしょうか…💦
だからこの「ADD=加入度」という値が、年々増えてる。
はっきり言って、あまり良い状態とはとても言えません。

ええ!本当だ…(´・ω・`)💦どんどん値が増えていますね…怖
わたしの眼、そんなことになっていたんですね…😢

測定度数(1回目のメガネ合わせ)※フリッパーなし

遠視は基本的に、オートレフの値から、どれぐらいの遠視が潜伏しているのか?
ということを推測して、遠視専用の検眼プログラムに変える必要があります。
しかし、残念ながら、どのメガネ店もこの「遠視の検査」が出来ていなくて、
オートレフの値をそのままめがねに採用しているケースがほとんどで、
実際、絞り出しを行うと、大量に潜伏遠視が出てくるのが、
当店の遠視検査の現状となっております。

今回のお客様は、遠視の未補正がある割には珍しく、調節痙攣がなかったので、
1回目は、フリッパーでのVTを行わずに、検査をさせて頂きました。

裸眼視力:右(1.0)左(1.0)

R)S+1.50 C-0.50 AX110°ADD+1.75 ×1.5
L)S+1.50 C-0.25 AX90°  ADD+1.75 ×1.5

本来であればカバーテストとかの数値も書きたいのですが、
今回は、潜伏遠視をメインに説明していきたいので、割愛します。

この段階で、右眼で5段階、左目で3段階の遠視の未補正が見つかりました。
右眼の乱視も10度ズレています。

遠くも近くも頑張ってみている状態になっていて、
まあ、裸眼よりは、近くも遠くも見えるけれど、
これだけ遠視が潜伏していれば、そりゃあ、慢性的な眼精疲労にも悩まされて当り前です。
テストレンズで、このメガネをかけてもらいました。

わぁぁぁ!近くが、見える…
こんなにすっきり綺麗に近くが見えたの、何年ぶりだろう…嬉しい😢

よかったですね!でもこれまだ、遠視が潜伏している可能性がありますので、
数か月後に、潜伏遠視が出てきていないか、再度検査しますね!

ガッツリと潜伏遠視を出すため、遠近と中近、両面から、
しっかりとメガネを常用して頂くことになりました。
念のため、2回目の検査の時は、VTも1週間前から入れてもらうことになり、
数か月後に再度、検査をさせて頂くことになりました。

測定度数(2回目のメガネ合わせ)※フリッパーによるVTあり

こんにちは!本日もよろしくお願いします!
やっと最近、メガネに慣れてきた感じがあります。
でも、夜になると、前のナンバーは見えるけれど、その先が見づらかったり、
まだまだメガネの使い方に慣れていない自分を感じるのですが、
これで良いのでしょうか…💦?

メガネの常用、頑張っていらっしゃって素晴らしいですね✨
Yさんは、今までほとんどメガネを使ってこなかったので、
まだまだメガネの使い方に慣れなくて、当り前ですよ(^^)!安心してくださいね。
ピアノを習ったことがない人が、いきなり、
ピアニストクラスまでピアノを弾けないのと同じですよ。
でもYさんは、リストとかショパンの難易度Eの楽譜を持ってきて、

「ピアニストと同じぐらいの流暢さで、この曲を弾けるようになりたいです」

って、言ってるようなものなんです。
例えば、ピアノ経験者なら、ショパンやリストを、
サッと弾けるようになったとしても、ピアノすら触ったことがない場合は、
まずは音符を読むことからスタートして、次は、
左右の手を別々の動きが出来るようにならないといけない。
経験者が1年かかるところを、仕上がるまで3年かかるかもしれないし、
その仕上がりにも、大きな差があるのは仕方がないことですよね。

なるほど…!それはもう、慣れなくても仕方ないですね!笑

そうそう笑 なので、完璧に何かを成し遂げようとするのではなくて、
最初にここに来たときよりも、快適になった部分があれば、
それで良しとした方が良いと思います。
仕事もしやすくなったし、近くも見えるようになったなら、
それだけでもう十分ですよ✨
メガネに慣れるのと、視覚が整うことは別問題なので、
少しずつメガネとお友達になる感覚で、
これからもゆっくり頑張って下さいね(/・ω・)/

裸眼視力:右(0.6)左(0.6)

R)S+1.75 C-0.25 AX115°ADD+1.75 ×1.2
L)S+1.75 C-0.50 AX75°  ADD+1.75 ×1.2

メガネを常用して頂いたことで、ここが変化しました!
潜伏遠視が左右でもう一段階出てきた!
・最終的に、乱視軸が右目で1段階過矯正、5度のズレ
左目で1段階の乱視の未矯正、15度のズレになりました。
・頑張ってみるのをやめてくれたことで、良い意味で、裸眼視力が出なくなった。

これからに期待
・右眼で調節が不安定になっており、瞳孔距離がばらつく。
・最高視力も少し上下しがちで、なおかつ、カバーテストで単眼個視することで、筋肉が緊張する。
→まだ頑張ってみる癖が抜けない。
・視覚も整っていないため、夕方や体調が悪いときに、
特に遠方にピント合わせが上手くいかず、
「ボケる」という状態になりやすいのでは?と感じました。
もしかしたら、視覚が整ってくると、まだ潜伏遠視が出て来るかも?

何度も申し上げますが「メガネの度数に慣れることと視覚が整うことは別問題」です。
譜読みが終わることが眼鏡の度数に慣れることなら、
そこから曲として仕上げていく工程が「視覚が整うということ」です。
基本的に、遠視の未補正は、40歳までに処理が必要なのですが、
それが出来ていなかったので、他の方よりも、治るスピードは少しゆっくりめです。
焦らずに、少しずつ、身体を整えていくことによる変化を期待しましょう( ˘ω˘ )

色々と教えていただいてありがとうございました!
メガネに慣れるのに時間がかかるということも、納得しました。
また、メガネは、デスクワークの時だけ使えば良いのかと思っていました。
他のメガネ店では、あまり教えていただけなかったし…

これだけ遠視の度数があると、裸眼で過ごせば過ごすほど、
身体に負担がかかり「調節の温存」もできなくなって、
度数も変わりやすくなります。
遠近両用、デスクワーク専用レンズ、両方をしっかりと常用して、
眼にもお財布にも負担をかけないような視生活を送れるのが一番よいですね✨

このたびは、ご来店いただき、また事例紹介にもご協力を頂き、本当にありがとうございました!
40歳を過ぎての遠視矯正は、皆さん、かなり苦労しているので、
Yさんは大丈夫かな…と心配でしたが、
他の方よりも、調節がまだ動いてくれたこともあって、
「ピントが合ってこなくて、ずっとボケる…」という不快症状も出なくて、
ホッとしました。
もちろんまだまだ、メガネに慣れていかないといけない部分も多々あるので、
焦らずにゆっくりと、視覚を整えて行ってくださいね✨