【事例紹介】斜視とメガネ、プリズムレンズで得た快適な視界

【事例紹介】斜視とメガネ、プリズムレンズで得た快適な視界

こんにちは、人にやさしく、メガネにもやさしい、福井県福井市のメガネ店、SAKAIです。
本日ご紹介させていただくのは、ネット検索でいらして下さった「外斜視にお悩み」のお客様です。
外斜視のケースはあまり記事に載せていないのですが、
今回のお客様も含めて、お悩みの方が多いようなので、
今回は、載せてみようと思い、ご協力をお願いさせて頂きました👓

斜視は「病気」。メガネ店で出来ることは「対処療法」。

誤解されている方がとても多いようなので、再度書きます。
まず、斜視は「病気」です。
メガネ店の専門は「病気が絡まない生理的屈折異常」で、
斜視は「病気」として分類されるため、
斜視の症状がある場合、必ず眼科での診察を先に受ける必要があります。
また斜視は脳梗塞や脳腫瘍などの病気が原因で起こることもあるため、
まずは眼科でしっかり検査を受けることが大切です。

眼鏡店で出来る斜視への対処療法は、プリズム処方となりますが、
それもあくまでも「完治させるもの」ではなく、
「斜視の症状を和らげる」「両眼視をしやすくしてくれるもの」です。
そこをお間違えの無いよう、お願いします。

20代・女性(専門職・医療関係者)
坂井さん、初めまして🌸
過去に斜視の手術歴があり、現在また斜視が戻って来たように思っていて、
眼鏡で何とか出来れば、と思い、来店しました。
本日はよろしくお願いします。

フレーム:UKMK eyewear Tone
レンズ:カールツァイス ドライブセーフレンズ

今回お選びいただいたメガネは、WEBサイトを見て(かわいいな…🌸)とぽわぽわされていた、
UKMK eyewearのToneに決定しました。
クール系美人なYさんにとってもピッタリの眼鏡がご提案出来てよかった💛
レンズは、こちらもプリズム範囲が広く、視界の広さ、見え方の良さで圧倒的な人気を誇る、
カールツァイスのレンズにて製作させて頂きました。

それでは眼の状態を分析していきます。

20代・女性(専門職・医療関係者)
今のメガネは、1年ほど前に、チェーン店で購入しましたが、
慢性的な遠方の見えづらさを抱えています。
それから、少し前から左目で乱視が強くなった気がしています。
乱視の矯正は、以前の眼鏡店で試したんですが、気持ち悪くなり、止めてしまいました。
それから斜視は、疲れていると、外斜視になっている感覚があり、
そういう時は、利き目自体も変わっている感覚を受けます。

なるほど…なかなかしんどい状況ですね。
まず、ベースの屈折をきちんと整えないと、
プリズム処方も決まりにくいので、そこをきちんと整えて行くことから始めますね!

シンプルでベーシックなデザインで、オンオフ問わず、かけやすい。

使用眼鏡

R)S-1.50 ×1.2ぼんやり
L)S-2.50 ×0.8ぼんやり

カバーアンカバーテスト:右目(外斜視の動き)左目(遠方近方共に、左上斜視の動き)
眼位(近方):右目(外斜位→左上斜位の動き)左目(外斜位→内斜位の動き)
        (遠方):右目(外斜位→左上斜位の動き)左目(正位→外斜位の動き)
NPC:6㎝以内(分離有・利き目偏重)
追従:NO(全体的に右目が追いきれず、ブレる)

うーん…。外斜視以前の問題で、
基本の度数が整っていないため、調節が安定せず
カバーテストをやると、眼位が安定せず
色々な方向に、眼が取っ散らかって動いてしまいます。
遠方視力に関しては、まあ、免許は通るよね?という感じではありますが、
左右のバランスがすごく悪い。
元々「両眼視が苦手」な外斜視という両眼視不良に、
この不正確な屈折補正の度数が、大きな負担をかけているのがもう一目瞭然でした。

測定度数(1回目のメガネ合わせ)

R)S-1.00 C-1.00 AX110° ×1.2
L)S-2.00 C-1.25 AX70°  ×1.2

カバーアンカバーテスト遠方:右、左(正位)
眼位(近方):右目(外斜位の動きが減る→正位)左目(上下の動き)
        (遠方):右目(外斜位)左目(外斜位)
NPC:6㎝以内(分離有・利き目偏重)
追従:スムーズ

ポラ十字:7.5△BI

現用メガネと比較して見つかった、改善が必要なポイント!
・右目…2段階の近視過矯正、4段階の乱視未補正
・左目…2段階の近視過矯正、5段階の乱視未補正
・斜視の眼位を安定させるため、BIプリズムをメガネに組み込みました。

大量の乱視の未補正が出て来ました。(ぞっ。)
この「乱視未補正」を、自分の調節で補うために、
眼位が取っ散らかってしまっていたと思われます。
斜視も、ポラ十字を使い、丁寧に、徹底的に、出るだけあぶりだしていきました。
年齢がお若いので、出たプリズム量のすべてをメガネに組み込み、更に調節が整ってきたときに、
緩んで出てくる斜視に対するプリズム量も、今後、拾っていきます。

あれ?これ、乱視が入ってるんですよね?
なんだか自然で見やすい!これならかけていられそう!
フレームが大きいから、違和感を感じやすいのかな…と思ってたんですが、
実はそういう問題じゃなかったのかな?

それもあるかもしれませんね。
大きいメガネに粗悪なレンズを入れることで、収差が大きくなり、
見え方の「粗」も分かりやすくなる。
あと一番大きいのは、前の眼鏡店で作った乱視と乱視軸が、
合っていなかった可能性もありますよね💦
度数に関しては、お若いし、2週間で慣れると思うから、
ちょっとだけ最初は我慢して頑張って!

プリズムメガネの良さは、作って直ぐは分からない

実はYさん、メガネをお渡しして2週間後に、メガネの調整にご来店いただいたときに、
プリズムメガネの快適性について、お話を聞かせてくださいました。

坂井さん(´・ω・`)実は、まだあまりプリズムメガネに慣れなくて…。
斜視が良くなれば、と思って、メガネを作ったんですが、
何だか自分の身体が追い付かないのか、眼が外側にパンッって開く感じがあり、
外観的にも気になってしまって、コンタクトレンズを使う時もあります。

なるほどなー…そりゃあ、そうですよね。
今、Yさんの眼は「今まで斜視を自力で補正しようとしてきた調節力」と、
「レンズにその頑張りを預けようとする力」が、めちゃくちゃ拮抗して戦ってる感じ。

メガネ「その斜視の調節、今まで自力で頑張ってきたじゃん?
今度からは、こっちで請け負うから、もう頑張らなくていいよ」

ってメガネが言ってるんだけど、
今まで身体はすっごく頑張ってきたのを、急に「頑張るな」って言われても、

身体「はあ?あなた急に現れて、なんなんですか?
わたし今まで、めっちゃ頑張って眼の補正やって来たのに、
今更「頑張らなくていい」とか言われても、そんな、信用できるわけないじゃん!
ポッと出のクセに、生意気言ってんじゃないわよ!」

みたいな感じかな、身体とメガネの関係を言葉にすると笑

なるほどーΣ(・ω・ノ)ノ!すごい、わかりやすい!めっちゃわかりやすいです!

でしょー?笑
それにYさんは、年齢も若いから、絞り出したPを、全部メガネに入れたから、
2週間ぐらいで慣れなくて当然ですから。
30代の人でも、パンパンに詰め込んだら、半年ぐらいかかった、って言ってましたよ。
カバーテストでは、そのプリズム量で、明らかに眼位が安定してるから、
2週間ぐらいで結果が出ないからって焦らないで、
3カ月ぐらい、気長に取り組んで行ってね(^^♪きっと大丈夫だから!

測定度数(2回目のメガネ合わせ)

坂井さん、その節はありがとうございました!
おかげで、メガネ、しっかり常用が出来るようになりました。
最初に坂井さんに言われた通り、
「プリズム補正はあくまでも斜視に対する対処療法」という言葉通り、
勿論、疲れてくると、少し斜視が出てくる感じはありますが、
両眼で物を見ている時間が長くなり、今では、
コンタクトレンズの方がしんどくなってきたぐらいです。

わー!Yさん、良かったですね!
コンタクトレンズが辛い、って不思議な感覚ですよね。
でも、わたしのところに来るまでは、
Yさん「コンタクトレンズで頑張るが標準」だったんですよ。
すごく「調節をひねり出して、頑張って見てたんだな」って思わない?

はい、本当にそう思うようになりました。
坂井さんのメガネの良さは、作って直ぐは、分からなかったけれど、
2週間、1カ月、3カ月と使うことで、確実に、身体の負担を感じなくなりました
本当、みんなに、メガネでこんなに楽になるんだってこと、知ってほしい!
特に、お兄ちゃんも、わたし以上に悩んでいるから、
会う機会があったら、教えてあげたいな、って思う。

BIプリズムを組み込むと、鼻側のレンズが分厚くなります。
プリズムを組み込むことを見越したフレーム選びも大切です。

R)S-1.00 C-1.00 AX105°×1.5
L)S-1.75 C-1.25 AX80°  ×1.5(ぼんやり)

カバーアンカバーテスト遠方:右目で眼位が少し定まりづらい
眼位(遠方・近方):右目(眼位が定まりづらい)左目(正位)
NPC:8㎝程度(分離有・利き目偏重)
追従:スムーズ

ポラ十字:8△BI

前回から変化した点
・右目…乱視軸、5°の修正
・左目…1段階の近視過矯正の修正、乱視軸10°の修正
・前回、7.5△BIどまりだったプリズムを、さらに0.5△BI追加することができ、
より両眼視に負担がかかりにくいメガネとなりました。
左右とも1.2止まりだった視力が、1.5まで回復

少し右目の眼位の定まらなさはありますが、
やはり斜視の手術歴もあるため、
そこはきっと、わたしたちの予想を凌駕してくるんだろうな、という雰囲気を受けました。

Yさんには今後、眼科を受診することがあれば、
きちんと斜視を診察して頂くようにお伝えして、クローズとなりました。

斜視を補正するうえで一番大切なこと!

これはもう確実に言えることですが、
たたき台となる度数である7番A矯正が、いかに正確になされているか、です。
基本的に、この7番Aさえきちんと出せれば、ご来店頂くお客様の8割は症状が改善します。
家の基礎と同じで、土台をしっかり作らないと、
家が建ったときに、傾いた家が建つのと同じことです。
そして、基礎が少し弱い場合は、家が倒れないために、
さらに地盤強化を行う=これがプリズム処方です。
メガネ専門店からすると「プリズム処方が出来ることなんて当たり前」です。
でも「プリズム処方値を最大限引き出すためには、たたき台をしっかりと作ること」
これが一番大切です。

Yさん、この度は事例紹介にもご協力頂きありがとうございました!
最初は「なんとかしたい」という気持ちからのご来店でしたが、
最後は「この快適さを、身近な人にも届けたい」と言ってくださって。
本当に嬉しいご縁でした。
わたしが作ったメガネに慣れること、本当に大変だったと思いますが、
信用してかけてくださって、本当にありがとうございました(^^)
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます✨
またいつでも調整にいらしてくださいね~(/・ω・)/お仕事も頑張ってね~(/・ω・)/