【事例紹介】斜位が原因で、気が付いたら左眼を使っていなかった。

【事例紹介】斜位が原因で、気が付いたら左眼を使っていなかった。

こんにちは、人にやさしく、メガネにもやさしい、福井県福井市のメガネ店、SAKAIです。
猛烈に忙しかったこともあり、気が付いたらすごく時間が空いちゃいました・・・(;^_^A
さて、本日ご紹介するのは、視環境が多岐に渡る「ドクターのメガネ」です。
実は今回ご紹介するSさまは、お父さんのお客さまだったのですが、
当店のお客さまのご紹介で、娘の代になり、再度ご来店頂きました(^^)
再びご縁を繋げて下さったM先生に感謝ですね~✨

「レンズ選定」はメガネ作りの「肝」となる部分!

今回のケースは、度数もそうですが、メガネ店側が、お客さまのニーズを上手く汲み取れず、
レンズ選定が上手く行っていないことで、
不満を抱えていたケースです。
「レンズ選定」は、見え方に大きく関わる部分で、QOLに直結します。
「レンズ」を疎かにするのは絶対にNGです。

・一体、どういうことで悩んでいるのか?
・それを解消するためには、どういう設計のレンズを使えば良いのか?

この2点のヒアリングが上手く行かないと、
ライフスタイルに添ったメガネを作ることは出来ません。
ということで今回は、度数の見直しと、レンズ選定のお話しになります。

室内で壁の時計も、近くもしっかりと見たい!

フレーム:J.F.REY JF2855
レンズ:HOYA極 遠近両用

50代・男性(ドクター)視環境が多岐に渡る
坂井さん、こんにちは!お父さんにはとてもお世話になりました!
本日は宜しくお願いします。
他店で近く用のメガネを作ったんですが、
自分のライフスタイルには合っていなくて、結局、あまり使用していません。
室内で壁の時計もしっかり見えて、
手元の資料等もきちんと見えるメガネを希望します。

フレームは、下がないメガネフレームをご希望だったので、
J.F.REYのメガネで、マスクをしても印象がボケないように、
少し華やかなメガネをお選びさせて頂きました。
レンズ選定でかなりお悩みを抱えていらっしゃったのと、
視環境が遠方~近方までの要求度が高く多岐に渡るため、
HOYAのという遠近両用レンズにて、ライフタイルに合わせた設計に組ませて頂きました。
遠方~近方まで、まるで単焦点のような広い視界で、
ストレスがなくお使い頂けるレンズでお作りをさせて頂きました。

それでは眼の状態を分析していきます。

使用眼鏡

R)S-2.25 C-0.50 AX175° ×0.8ぼんやり
L)S-1.25 C-0.75 AX3°   ×1.0かなりぼんやり

PD=66.0

眼位:(遠方)右上斜位の動き/ (近方)右上斜位の動き
※左眼斜視、左眼単眼固視で眼振
NPC:6cm以内(寄りのバランスが悪い)
追従:NO(全体的に動きも鈍く、顔が動く)

視力的には、まあ悪くはないのと、
両眼視機能まで見ていくと、左眼を使っていないため、外斜視になってしまい、
左眼だけでペン先を見て頂くと、中心窩で物を見ることがかなり負担になっていて、
完全に眼振が出てしまいました・・・(;^_^A
個人的には、上下斜位の動きをしていることが気になります。
経験値として、追従の段階で、眼だけで物を追い切れず、
顔が動く人は、上下の視線のズレがある人が多いです。

測定度数

R)S-2.50 C-1.00 AX170°ADD+1.75 0.25△BD  ×1.2
L)S-1.25 C-1.00 AX10°  ADD+1.75 0.25△BU   ×1.2

PD=64.0

眼位:(遠方)外斜位 / (近方) 外斜位 
NPC:6cm以内(スムーズ)
追従:YES(改善)

左右ともに乱視の未矯正、第二のお年頃「老眼」が見つかりました。
瞳孔距離も2mm外側にズレてます。

恐らくこのメガネ、度数的には合っていたものだと思われますが、
近くをメガネを外して見ていることで、乱視、乱視軸共に変わって来てしまったと思われます。
また、両眼視まできっちり検査したところ、
右上斜位という視線のズレが見つかりました。
右上斜位の視線のズレを自力で補えず、知らず知らずのうちに、左眼を使わないことで、
ダブって見えることを防いでいたことが判明しました。

視力が出るうちに見つかって良かったです💦
上下斜位をお持ちで、どちらかの眼が使わない生活になってしまっている場合、
距離感が掴めなくてぶつかりやすかったり、
使わない方の目が視力が上がりづらくなっている、ということがあるんですよ。

ええ、そうなんですか!
そういえば昔、複視を起こしたので、眼科で診てもらったことが合って、
その時は「問題なし」と言われたんです。
その時は複視だと、左右の映像を比較して、線のズレが分かったりしていたので、
便利だな、と思ったときもあったんですが・・・。

なるほど・・・笑
そういう便利な部分もあるんですね・・・笑
まあでも、両眼を使わないということは、あまり良いことはないので、
今回から、しっかりと両眼を使っていきましょうね!

メガネをお渡しさせて頂いてその後。

坂井さん、こんにちは!その節はお世話になりありがとうございました。
きちんとライフスタイルに合ったレンズ選定をして下さっただけでなく、
測定も行ってくださったお陰で、診療がとても楽になりました。
坂井さんが選んで下さったレンズ、単焦点のように広い視界で快適です。
近くもメガネ外さずに見えますし、壁の時計も楽に見えます。
それと、2メートルぐらい離れた75型のテレビが見やすくなって、
4K映像の真の価値がわかるようになりました。
本当にありがとうございました。
「両眼で物を見られる」ようになったおかげで、前のメガネを掛けると、
物がダブって見えるようになりました。
言われた通り、左眼を使っていなかったんだなぁ、と思いました。

ということで、Sさまからは、お手持ちのテニス用メガネ等のレンズ交換もお預かりさせて頂きました(^^)
Sさまは、お父さんの大切なお客さまです。
当時、本当に仲良くして下さったようで、思い出話も聴かせて頂いて、
娘としてもすごく嬉しかったです。
世代を超えて、お父さんの大切なお客さまのお役に立てたことが、
わたし自身、本当に嬉しかったです。
急に旅立ってしまい、皆さまにご迷惑をおかけしてしまったので、
少しでも恩返しに繋がったのなら、わたし自身嬉しく思います。

両眼で物を見ない、ということは、眼からの刺激が脳にいかないことで、
認知症リスクも上がります。
これからも、患者さんのために、お仕事頑張って下さいね!
陰ながら応援しております。
この度は再度ご来店頂いて、本当にありがとうございました!