【事例紹介】遠近両用は『顔を動かす』ことで、遠く~近くが見えるレンズ設計のメガネです。視機能編

【事例紹介】遠近両用は『顔を動かす』ことで、遠く~近くが見えるレンズ設計のメガネです。視機能編

こんにちは、人にやさしく、メガネにもやさしい、福井県福井市のメガネ店、SAKAIです。
本日は、先日「遠近両用が上手く使えない…(;ω;)」とご来店頂いたお客さまの事例の後編です!
遠近両用の設計もめちゃくちゃだったんですが、度数もめちゃくちゃでした…(;^_^A

999.9 M-120 1908番
レンズ:雅→極(遠近両用)にチェンジ

こちらのお客様、カッコいいメガネフレームや、個性的なメガネを掛けこなすことがとてもお上手で、
中々に玄人向けのM-120になりました✨
実はこのメガネを仕入れるときに、女性のお客さんにこれ掛けてほしいなぁ、と思って仕入れていたので、
見事、このサーモントをオシャレに掛けこなして下さるお客さまの元にお嫁入して、とても嬉しかったです。
レンズは、当初、HOYAの雅をお使いだったんですが、前回の流れから、極にチェンジです。
遠近両用のレンズについてはこちらをご一読下さい。
遠近両用にも関わらず、単焦点のように隅々まで見える広い視界がとても好評でわたしも嬉しいです(^^)

使用眼鏡①(アイポイントが合っていない遠近両用)

R)S-1.50 C-0.25 AX104°
L)S-1.50 C-0.25 AX82°

使用眼鏡②(遠近を作るまで常用していたメガネ)

R)S-1.50 ×1.0
L)S-1.50 ×1.5(形で判別している感じがある)

眼位:
(遠方)右:正位?(ただし自覚は内斜位)左:上下の動き
(近方)右上斜位の動き
NPC:6cm以内(10㎝辺りからきょろきょろしだして、頑張って見る感じになっている)
追従:NO(右眼が全体的にぎこちない)

使用されていた遠近は、数週間しか使っていないこともあり、
それまで常用されていた方のメガネでカバーテスト等を行いました。
まず、視力的には問題ないですが、乱視の未矯正が濃厚です。
それと合わせて、両眼を上手く使えているかのチェックで、上斜位は出ているし、
近くもすごく頑張って見ている感じになっており、アウトです。

測定度数(1回目のメガネ合わせ)

R)S-0.75 C-1.25 AX85°ADD+1.75 ×1.0
L)S-1.00 C-0.75 AX90°ADD+1.75 ×1.2

眼位:
(遠方)正位
(近方)外斜位
NPC:6cm以内(眼がキョロキョロする感じがなくなった)
追従:YES(スムーズ)本人自覚あり

現用メガネと比較して見つかった、改善が必要なポイント!
・右眼で3段階の近視の過矯正、6段階の乱視の未矯正
・左眼で2段階の近視の過矯正、3段階の乱視の未矯正
・第二のお年頃、老眼

乱視の未矯正、かなり大きいですね。
乱視の未矯正分が、ほとんど近視の部分に入っており、
目を酷使し、頑張って見るという形になってしまっておりました(;^_^A

測定度数(2回目のメガネ合わせ)

坂井さん、こんにちは!
その節はお世話になり、ありがとうございました!
実はあれから、坂井さんに作って貰ったメガネを使っていて、
(あれ?わたし、今まで右眼を使っていなかった!)と言うことに気が付きました。
疲れてくると、使っていなかった方の眼でピント合わせが苦手になってきて、
使わなくなってしまう感覚がまだありますが、
(眼を使いなさい)と脳に指令を出して、使う、と言う感じになってます笑

あー、なるほどー。
右眼がとんでもない過矯正(度が強すぎる状態)になっていたので、
辛くて「抑制」しちゃってたんですね。

R)S-0.75 C-1.25 AX95°ADD+1.75 ×1.5
L)S-1.00 C-0.75 AX90°ADD+1.75 ×1.2

眼位:
(遠方)正位
(近方)外斜位(ただし単眼固視で右眼のみで固視すると、眼振が起きる。時々右上斜位の動きが出る)

マドックス:途中から右眼を使い出すことで、線が右眼→真ん中に移動してくる。

メガネを常用して頂いたことで、ここが変化しました!
・右眼が1.0→1.5に視力がアップ
・使っていなかった右眼で乱視軸10度の変化

これからに期待!
かなり良くなってきたんですが、やはり右眼の抑制の癖が抜けず、
そのたびに、左眼も右眼も調節が不安定になりがちで、瞳孔距離が定まらない傾向にあります。
左右ともに不安定で、その時その時で、2ミリぐらい眼位に差が出ちゃってます。
これから1年、2年、3年と、両眼でしっかりと物を見るクセがついてくることで、
瞳孔距離の定まらなさや、調節の不安定さも徐々に解消して来ます。

いまやっと、両眼で物を見ることができるようになってきたので、
焦らずにゆっくりと目を整えて行ってあげてくださいね✨

ちなみにこちらのお客さまは、後日、老眼鏡もお作りにいらして下さったんですが、
検査をしたのが4月末で、老眼鏡の作製が11月の末です。
7か月ぐらい経ってきて、瞳孔距離の不安定さは収まってきたな、という感じでした。

坂井さん、老眼鏡も、ぜひ視機能が低下している方や、
デスクワークが多い方に薦めてあげてください。
遠近両用はあくまでも「遠く+近くがおまけで見える程度のメガネ」ということを、
老眼鏡を作って見て、本当によく分かりました。

わたしの眼は、いま、合わないメガネを使い続けた影響から、
上手く調節が出来なくなっているんですが、
体感として、遠近両用で近くを見るときは、
眼をギューって寄せて、近くを見ているんですね。

それで、近くを見るためには、ギューって眼を寄せて「調節」を使って見ているんですが、
調節が上手く出来ないわたしの眼は、その「余力」が少なくなってしまっているんです。
疲れてきた夕方や、読書をするときに、遠近だと、
眼を近くに寄せるための調節が足りなくて、眼を寄せきれなくて、
特に近方でボケて見えづらくなっちゃう。
でも老眼鏡だと、眼をギューって頑張って寄せなくても、近くがスッと楽に見える
ので、

(うわぁ、老眼鏡ってこんなに楽なんだぁ!)

って思ったんです。
きっとみんな、遠近両用でも近くが見えちゃうもんだから、
「頑張って近くを見ている」という自覚がないんだと思う。

いや、本当にそうだと思いますよ。
というか、うちのお客さまのほとんどが視機能ダメージが半端ないので、
遠近で仕事をしている人で、調節ダメージがある人は、
再度メガネ合わせに来られた時に、遠方近方のピント合わせに時間がかかるようになっちゃってる方、たくさんいますよ。
きちんとご説明して、老眼鏡はオススメしますが、きっとTさまも仰るように、
「とりあえず遠近でも近くが見えちゃう」もんだから、
どれほど調節に負担がかかっているか、自覚できないんでしょうね…(;^_^A


ちなみにわたしも先日、麻痺剤入れて目の検査をしたので、
奇しくも老眼を体験したんですが、
個人的に思ったことは、

「遠近両用なんかで、デスクワークも読書も出来るかー!!!」

でした笑
なので、家に帰って一番先にしたことは、
35㎝の距離に合わせた老眼鏡を作ることでした。
わたし遠視系なので、老眼になると近くが見えなくなるんですよ。
まず仮枠の度数すら合わせられなくて、
老眼ってなんて地獄なんだ…(;ω;)と初めてお客さんの気持ちが分かりました。
それで、遠近両用は非老眼世代のわたしからすると、近くの見える範囲が狭くて、
老眼鏡にした瞬間、近くがすかーッと見えて、範囲も広い
ので、
読書が捗りました。デスクワークは散瞳で眩しすぎて、アウトでした笑

散瞳剤を入れての検査に関しては、また後日にしようと思います笑
この度は、貴重なレンズの口コミまで寄せて頂いて、本当にありがとうございました!
わたしは老眼世代になったら、

・運転用の遠近(遠方に振ったやつ)…カールツァイスのドライブセーフ
・中間帯が広い遠近…HOYA極
・デスクワーク、読書…老眼鏡(加入+2.00を越えたら近々)

この3本立てでいこうということを固く心に誓いました。
Tさまの視機能も徐々に整って来ることで、更に両眼視がしやすくなりますから、
ゆっくりと焦らずに、メガネに慣れて行ってくださいね!
この度は重ね重ね、本当にありがとうございました!