【事例紹介】何度でも言います。乱視が身体に悪い=都市伝説です。

【事例紹介】何度でも言います。乱視が身体に悪い=都市伝説です。

本日ご紹介するのは、ななななんと「微笑みの国タイ」からのお客さまです!
そのネーミングにふさわしい、とても穏やかな素敵なお客さまでした。
接客業をしていると、いつも色々なお客さまと接する機会があるのですが、
何というか、心に余裕があるお方で、
みんなAさんみたいだったら、争いごとも起きないのかな、と思ってしまったほどです(^^)

30代(事務職)
坂井さん、はじめまして!
僕は自転車が趣味なのですが、職場の先輩から、
「きちんと顔を覆ってくれる、スポーツ専用のサングラスを作らないと駄目だよ」
とアドバイスを受けて、坂井さんのお店をネット検索で見つけて、
来させて頂きました。本日は、宜しくお願いします。

サングラスはOAKLEY CROSSLINK調光レンズで!

フレーム:OAKLEY CROSSLINK
レンズ:Nikon カーブレンズ
カラー:調光グレー

と、ご来店頂いたAさま。
実際測定してみると、度数がとても強く、
ハイカーブサングラスは、諦めないといけない度数でした…。

「坂井さん、自転車の周りだけ見えてればいいから…」

と、Aさまには言われましたが、

「いやいや、そんなん、絶対ダメ!
見えてない=ということは、障害物も見えなくて、事故に繋がるんです。
それならもう、サングラス作らずに、
きちっとしたメガネを作って、メガネで自転車した方がマシですよ!」

「えー!そうなんですか?」

「うん、そうですよ。だから、何か考えます。」←(どこまでも見え方に厳しいわたし。苦笑)

という、やりとりもあったぐらいのオーバー度数でした。
(今年は、オーバー度数のお客さまがとても多くて、
自分自身のスキルもとても磨かれた年でした…笑)
しかしせっかくご来店頂いたので、なんとか、スポーツ用のサングラスを作れたら、、、
と色々と考えて、OAKLEY CROSSLINKは、ソリ角と呼ばれる角度が深いため、
通常のメガネフレームよりは、顔を覆ってくれる形状になります。
また、イヤーソックも付いているため、汗をかいてもズレにくい。
そのため、自転車用、通勤で、夜も朝も使う、ということを考慮して、
クリアレンズ→グレーに変わる調光レンズにて、サングラスを製作させて頂きました。
もちろん、普通のレンズでは辛くて掛けられない度数になるため、
カーブに合わせて、見え方を整えてくれる、カーブ補正のある、
Nikonのカーブレンズを使わせて頂きましたので、
見え方的にも、光学的にもバッチリなサングラスをお作りさせて頂きました。

それでは眼の状態を分析していきます。

坂井さん、今のメガネは、
僕が来日した7年ほど前、まだあまり日本語が上手く話せない時に、
職場の先輩に「メガネを作りたいんですが…」と相談したら、
「安くていいところがあるから!」と言われ、
某安売り店で作ったメガネなんです。
ただ、職場のみんなは、パソコンの距離とか、きちんと見えているのに、
僕は、全然見えていない。
それに、日常的に眩しさを抱えていて、
パソコンの画面なども、一番明るさを暗くしないと、眩しくて…。

えええ…そんな状況になっていたんですか…。
もうそれは、日本のメガネ店を代表して、謝罪したい気持ちでいっぱいです。
サングラスを作るためには、きちんと両眼の動きを見て、
両眼視まで整えて、安全性の高いメガネを作らないと、
事故に繋がってしまいますから、使用眼鏡もきちんと見せて頂きますね。

使用眼鏡

R)S-7.50 C-2.25 AX18°  ×0.5
L)S-6.00 C-2.50 AX170°×0.7

眼位:遠方(内斜位=眼が動かないため内斜位と判断)/ 近方(右上斜位の動き)
NPC=6cm以内(合格だが、すごく近くを頑張って見ている状態になっている)
追従=NO(特に右眼がペン先を追い切れない)

視力的にもNGですが、
両眼視がもうガッツリと崩れちゃってます。
特に、近くをすごく頑張って見ている状況になっていて、追従もダメダメ。
これでスポーツサングラスを作ってしまうと、
本当にいつか取り返しのつかない怪我に繋がりかねません。
このデータと、自覚症状から疑うことは、
まず乱視の矯正が全然足りていないということ。
それと、上下の視線のズレ(両眼視不良)が考えられます。

測定度数

R)S-6.50 C-4.00 AX15°   2△BD  ×0.9
L)S-5.50 C-3.75 AX155° 2△BU  ×0.6

眼位:遠方(外斜位)/ 近方(外斜位)
NPC=6cm以内(改善)
追従=YES(改善)

右眼、-1.00の球面の過矯正、-1.75の乱視の未矯正、3°の軸ズレ、
左眼、-0.50の球面の過矯正、-1.25の乱視の未矯正、15°の軸ズレ、
右眼で見た映像と、左眼で見た映像を、脳の中で一つに融像出来ず、
複視を起こしてしまったため、
それを補ってあげるためのプリズムレンズを組み込ませて頂きました。
全体的に度数を整えてあげることで、
崩れてしまっていた両眼視の動きも回復。
ただし、お話しから、乱視の未矯正が10年を超えているため、
全体的に視力も上がりづらくなってしまっています。
現用メガネと、測定度数のメガネで、左眼で少し視力差があるのは、
恐らく調節が不安定になってしまっていることによると思われます。
また、視機能が整って来ることで、今後、度数が良い意味で変わりそうです。

うーん…Aさん、ちょっと大変なことになってますね…(;^_^A
先輩に連れていかれたメガネ店で、
乱視のこと、何か言われましたか?
身体に悪いから、弱めるとか何とかかんとか…。

あっ…そういえば…
「乱視が強くて、このままだと、まっすぐ歩けないから、
歩けるようにしてあげますね。」
と言われた気がします…。

ああ…うん、それですね。
それで乱視ががっつり未矯正になっちゃっていたんですね。
これ、近視の度数も、かなり強い度数になってますが、
乱視の未矯正分が、この近視のところに入っちゃって、
度の強いメガネが出来上がることになったんですよ。
それに、乱視を矯正しないと「調節性内斜位」と言って、
視線が内側に寄っちゃうんですよ。
いままさしくその状態になっていて、こういうのを放っておくと、
ある日突然、物が二つに見えるようになった、とか、
そんな感じになっちゃうんですよ。
ただ、この乱視に慣れるのは少し大変ですが、
いま頑張っておかないと、将来的に取り返しがつかなくなるから、頑張って!

ええ!そうなんですか…。
乱視は、身体に大切なものだったんですね…。
乱視に慣れるためには、自分も少し頑張る必要がある、ということですね。
坂井先生、理解しました。

はい、頑張りましょう。
それに、視力も上がらなくなっちゃってるから、
とりあえず、視力がどうなったか見たいから、また半年後にお店に来て頂きたいのと、
瞬きが多いのが気になるので、ちょっと眼科にも行ってもらって良いですか?

Aさまは、後日、きちんと眼科にも足を運んでくださったようで、
ドライアイの診断が下り、現在眼科で治療中のようです。
ドライアイは、結構、大きな免疫系の病気が隠れている場合もあり、
侮れないので、わたしは検査中に違和感を感じると、
いつも眼科で診て頂くように、お客さまにお伝えしております。

出来上がったサングラスを掛けて頂きました!

紫外線がないところでは、クリアレンズとなります!
そのため、夜や、室内では普通のメガネとして使用可能!

うわ…!近くがすごく良く見える…!
よく見えすぎちゃって、びっくりしちゃった!
それに、眩しさを不思議と感じないです。
今は少し物が歪んで見えますが、慣れるように、僕も頑張ります。

乱視を矯正すると、これだけ近くの見え方が変わるんですよ(^^)
乱視を矯正しない方が、身体に悪いんですよ。
それを実感して頂けたら嬉しいです。
物が歪んで見えるのは、脳に新しい見え方を覚えさせるまでなので、
最長、半年も使えば落ち着きますから大丈夫!
これが嫌だ!って人は、乱視を弱めれば、解決しますが、
抱えている視機能トラブルは永遠に残ることになるので、
どちらを選択するか、です。
年齢的に、後者は絶対におすすめしません。

また近くがボケて見えるのは嫌ですね…(;^_^A
サングラスを作りたいと思ってこちらに来たので、
身体に合ったサングラスを作って下さって、本当にありがとうございました!
嬉しいです。

「先生」と呼ばれたら信頼関係、ガッツリ!by関先生

お世話になりました!
と、わたしが大好きなメーカーのお菓子を頂きました♡

余談ですが、わたしは卒業後もまだ、2カ月に一回、
キクチ眼鏡専門学校で教鞭を取られていた、関ODの勉強会に参加しております。
その時に先生から、

「坂井さん、お客さんから『先生』って言われたことある?」

「一度だけあります!ご年配のお客様だったんですけどね。
検査終わった後に『先生』って呼んでくれました。」

「それ!それが大事なんだよ、坂井さん!
最初お客さんは「メガネ屋さん」という色眼鏡で、お店の暖簾をくぐって来る。
だけどそこで、きちんとした検査をして、きちんとしたメガネを提供できると、
お客さんの、坂井さんを見る目が変わる。
「メガネ屋さん→先生」に変わったのは、
坂井さんが、お客さんと、きちんとした信頼関係を築けたからだよ。」

「そういうことなんですね!
それでは、まだ1回しか呼んでもらえていないから、
もっとプロフェッショナルな仕事が出来るように、
関先生のところで勉強もっと頑張ります!」

と、会話したことがあったんですが、
Aさま、検査が終わった最後に「先生」と呼んでくださって、
ああ、わたしはAさんのために、プロフェッショナルな仕事が出来たんだな、と、
とても嬉しい気持ちになりました(^^)
(※もちろんこのお話は、先生に報告させて頂き、先生も喜んでくださいました!)

Aさまには最後、美味しいお菓子も頂いてしまいました!
今回わたしが思うのは、いつかタイに帰ったときに、
「日本のメガネは最高だった!」と思ってもらいたいな、ということ。
日本での快適な生活を、わたしは「視機能」の面からサポート出来たら嬉しいです。

また半年後もお待ちしておりますね!
今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます!